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「ケーブルの速さを想定してフレーズを考えられるようになった。って異常ですよ(笑)。」(ミト)


OY:大分よかったらしいですね。
ミト:あそこはヨカッタ。めちゃめちゃヨカッタ。あの時に全部のシステムがかみ合った。ケーブルも全部揃って。クロックが全部整ってやると、何が良くて何が悪いのか全部わかるから、そのすごさは究極でしたねー。ここをこう変えたからここが良くなったっていうのが、誰でもわかるような感じになる。あたり前だけどAD挟んでるわけだから、AD側の内容が優秀になってれば、確実に出てる音の判別もしやすくなる。そこがもう一番如実に。
 
OY:なるほど。でも、ケーブルメーカーの人間が言うのもなんですけど、ケーブル変えてよくそこまで。予想よりはるかに効果が出てますよ。ドラムやDIの後ろとか。
ミト:そうそうそうそうそう。そこら辺でずいぶん変わってると思う。

OY:卓に入る直前を全部変えたってことがデカイってことですね。
ミト:デカイと思いますよ。マルチを変えてクロックも合ってきて、要するに大元の判断基準を、デジタルっていうか、ラインのところであたり前にそれがストレスなく出てれば、ケーブルの差とか違いとかがどれだけ変わったかってのがバッと出る。そこのケーブルの良さが素人でも聞えるようになっちゃう。

mito_5OY:それで全部変えたくなっちゃったんですね。
 
ミト:そうそう。そういうことですよ。
 
OY:BNCとかのクロックも変えてるじゃないですか。DR-510っていう銀の単線に。
ミト:それもかなり関係してると思う。個性は絶対出てると思うけど、今その個性を云々というかはまだ、
OY:他とあんまり比べてないですもんね。
 
ミト:うん、そう。その個性というか特性を熟知して何かやってるってことではなく、そのものがこういう風にいい音で出るってことだけで、今楽しめてる。
 
OY:変えたらこうなる、とかっていうテストはまだやってないですもんね。
ミト:そう、で、今後はテストができる。もうちょっとリファレンスとったりすることもできる。でもフツウここまでいかないですから。しかもLIVEですよ。レコーディングの取材みたい(笑)。

OY:ですね。でも録ってるは録ってるんですよね。
ミト:そうね。まぁそれが前提ではあるけどね。にしてもちょっと異常(笑)ですよ。

OY:確かに浅草の時よりも音良かったっすもん。
ミト:全っ然違かったでしょ。

OY:全然違う。
ミト:音の粒立ちから躍動感から。それがもちろんクロックのおかげもあるけど、そのクロックが全てそのいいものの良さをさらに引き出してる、わかりやすく。そうするともう一つ一つの個性さえもわかる、OYAIDE/NEOのプロダクトそれぞれの個性さえも。

OY:そんな中で、演奏は変わりました?
ミト:全っっ然(変わります)。もう力入れなくて済むようになっちゃいました。

OY:別々に訊いてるんですけど、みんな同じこと言うんですね。
ミト:もうまったく力を入れる必要性を感じない。だから速い。フレーズとかインスピレーションからカタチに出ていくまでのレスポンスが速すぎて、今までできないと思ってたことまで出来るようになるんで。ベースで32分(音符)とかってキレないでしょ。32分的なアタマでフレーズが考えられるようになっちゃった。

OY:分解能が上がったんだ。今まで他の所に使ってた神経とかが空いたんですかね。その分演奏のこと考えられるとか。
ミト:そうですね。ケーブルの速さを想定してフレーズを考えられるようになった。って異常ですよ(笑)。今の状態って超人的な(笑)。そういうことがツアーの数を重ねた人のスキルになる。でもこれはたぶんね、ずーっとは続かないんですよ。ツアー終わったらちゃんとなくなるんですよ。

OY:ほー。
ミト: “今”僕らにリファレンスとかMIXとかやらせたら、ものすごく早いと思いますよ。ていうか、実際ホントに早いです。
Exif_JPEG_PICTUREOY: ジャッジが早い?
 
ミト:そういうことなんでしょうね。
 
OY:善し悪しの基準がピッとしてるんですかね。
 
ミト:見えてる。NGポイントがわかってるから、どこをどうするとNGになっちゃうか、って発想でやってるから。
 
OY:会場もあれですね、もう一回り大っきくてパワーあってもいいかもですね。
ミト:まぁ全然出来るんですよ。アンプもスペックは足りてるから全然鳴らせますよ。AXくらいの規模ならシステム的には全然鳴ると思うんだけど、僕らの基準は1台の車に乗るか乗らないか、ですからね。
OY:それはそうですよね。ツアーのテーマですもんね。なんですけどね、ガッチリ鳴ってて音もでっかいなって思うんです、もう一段天井っていうか、
ミト:そうそうそう。でもその天井っていうか足りないものが、何だかわからないんだけどアップアップ、っていうんじゃなくて、単純にパワー、キャパなんだっていう明確な理由がサクっとわかるっていうのは、ウチらにとってはすごくストレスがないよね。
OY:わけわかんないけどなんか足んない、じゃなくて、
ミト:だからなんか細かいことに手を染めようとするんじゃなくて、ウチらのケーブルの選び方や使い方ってのは、大元をちゃんとしてて細かいところもちゃんとするから良くなるんだ、って思考で動いてる。どっから始めたらいいかってのがわかってる。
OY:早いですよね、作業が。
ミト:フツウじゃないでしょうね。でも今だけ(笑)。国技館の頃にはまた変わってると思う。
OY:確かに今日はビックリしました。場所も神秘的だし。沖縄なんですよね、ここ。
ミト:なんか沖縄って感じしないね。あまりにもストレスフリーでさくさく出来てって。
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ホールやライブハウス以外の場所でのLIVEが多いこのツアーにおいても、鍾乳洞という条件は流石に・・、 という心配は”いい意味”で完全に裏切られた。そもそも、多少コンディションがキビシくても、このクラムボンチームはビクともしない。なにしろエコー6秒のモエレ沼や天井2mの畳張り、全外気開放の合掌造りの旧遠山家などでも素晴らしいステージで観客を魅了してきたのだ。

この日、沖縄のガジュマルに囲まれた鍾乳洞の中で響き渡ったクラムボンのサウンドは、圧倒的多幸感に満ち溢れていた。今日ここでのLIVEを体験した人は本当に幸せだと思う。 

スケールアップするクラムボン、11月3日の両国国技館でのLIVEが本当に待ち遠しい。

【Interview & Text :Kenji Takechi】

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