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パッと前にローがきてればコンプもそんなに当てなくていい
前回は主にデジタル環境についてのお話でした。マスターを作る際のエピソードなど面白かったのではないでしょうか?今回はレコーディングでの音作りの話題も出てきました!
OY:ところでミトさんはベースはNEO製品使ってらっしゃるんでしたっけ?たしかこの間リハにおじゃました時はQAC-202Gをピックアップつけたアコギに使ってましたよね。
ミト:アコギをQAC-202Gで、ベースはPA-01を使ってますよ。
toe美濃:PA-01ね。僕はベースにはPA-01が好き。ハイファイで早いやつ。
ミト:あれはBeldenやMonsterとはちょっと違うよね。
toe美濃:さらにレンジ広げた感じ。ただハイが勝っているのかっていうとそれだけじゃなくて、ウルトラローもちゃんと出てる。
ミト:こないだ録った時使ったんじゃなかった?
toe美濃:そう、山根くん(toeのベーシスト)はけっこうモッコリした音を作るから、いつも8412とかなんですけどね、
OY:じゃモッコリモッコリ。
toe美濃:そう、モッコリモッコリしちゃうのでPA-01にして、「早くなったよね、こっちにしなよ」って。
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ミト:ベースの人ってけっこうモッコリ傾向あるよね。
toe美濃:ミトくんは早い音作りするけどね。
ミト:こないだベースマガジンの取材があって、みんなやっぱミッドローからロー感のところを中心に考えるんだけど、それは当たり前なんだけどオレのやってることってレンジ広いじゃん。
だからオレの発想ってエンジニアのそれに近いっていうか、混ぜることを考えた上でのものなんだよね。
toe美濃:結局、録った後でないところをEQでギュンって持ち上げてもノイズばっかり増えてしまう。ちょっと痛いところを切るくらいの方がいいんだよね。
ミト:そのためには何がいいかというと、ローが早ければ一番いい。あとはどうにかなる。波形の上に上がって下がっての距離がどれだけ短いか、っていう発想なんですよ。
パッと前にローがきてればコンプもそんなに当てなくていい。レスポンスが早いんだからそれを目安にすれば、ガッチリRATIOを8:1とか10:1とかにする必要ない。4:1とかで十分。それすら要らない、2:1とかでもいい。
toe美濃:アコギとかの時は3:1とかだしね。
ミト:僕らは基本的にそういう人、リリース短めでアタックの早さとかレシオの感じとかも短い。
toe美濃:必要以上につぶさない。ポンってたまに赤が点くくらい。
ミト:つぶすとナローになっちゃうから。こういうのって意識して聞いてないとわかんないんだよね。プレイだけだとわかんないところっていうか。
OY:曲のトータルイメージが見えていないとなかなかわからない。
ミト:そうそう、曲のビジョンに向かっていないと自分の気持ちいい音だけ作っちゃうんだろうね。
OY:ベースアンプは何を使っているんですか?
ミト:レコーディングではAmpegのB-15Nっていうビンテージ。まさに真空管。どっちかというと倍音増やしてラインを見せるためのアンプ。でもアンプメインで音作りしない。アンプ+MilleniaのTD-1っていうDI。これをS/A LabのHighEndHoseで早い音にして、そっからシールド。そうするとちょうど波形が反転してるくらいの速さで送れる。Millenia側をひっくり返してあげれば双方で太い音がでる。
たぶん僕のセッティングは普通ならあっという間に録れちゃうと思いますよ。録り音がもうそのまんまだから。
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OY:DIの電源はポイントなのではないですか?
ミト:DIの電源こそ、結構重要。僕はアンプでローをあんまり稼がない人なので、ていうかアンプでローを稼いでも削っちゃうんだ、結局。
アンプのローっていうのは一番低いところから60-70hzまで膨れてて、で結局ローカットしてポンって落としちゃうでしょ。32くらいからノッチ16くらいでノッチしてったらそれでもうカラー変わっちゃうじゃない。聴感上はあんまり変わらないんだけど、完全に抜けてってる。ラインのやつだと全然違うんだよね。
toe美濃:うんうん。
ミト:あくまでラインだからローインピで入ってるわけ。ローインピで入ってるスーパーローって不安定にならない。しかも早い。アンプ側はどんどん削ってってもいいくらい。むしろミッドローの倍音、歪ましたりホットにさせて・・・
toe美濃:その熱成分をラインに付け加える。
ミト:そうそうそうそう。チリっとしてるそのラインを見せれば輪郭は出る。シンセベースも確実にラインでつくったヤツと、別チャンネルかAUXに立ち上げて1回アンプ通したり、アンプシュミレーターに必ずあててラインを残す。
OY:ライブ感や空気感。
ミト:うん。みんなよく空気感やアンビエンスやなじむっていうけど、馴染むというよりラインが出るってことだと思う。低いってことはとやっぱり小っちゃいスピーカーで聞いても震えてる振動だけで基本的にはちゃんと聞こえきれないんですよね。どこら辺が一番聞こえるかっていうと200-370hzとか、僕が一番ラインとして意識してるところ。あとはその倍数。そこらへんのところがちゃんと聞こえるために付加してあげてる。ラインが見えると馴染んで聞こえるんですよ、不思議と。
OY:輪郭とか?
ミト:輪郭もラインだけだと、シンセとか四角いのがトーンと出る感じで、普段あるバンドサウンドにシンベがカーンて入る、それにシュミレーターで倍音成分足してあげるとグっと寄るわけです。狭くなるんじゃなくて、その外側の角が・・・
toe美濃:散るって感じだよね。
ミト:丸くなるんだよね。
toe美濃:散って溶ける。角がとれる。
OY:toeの時は?
toe美濃:toeの時はライン使わないです。シンセ関係全部アンプ出しマイク録り。JC-120。ローズとかも。
ミト:美濃くんローズをラインで録らないもんね。
OY:ローズスーツケース?マイク2本たててみたいな。
toe美濃:そうそう。逆に打ち込みっ”ぽい”曲にしたいときはラインで録るけど、あまりにもなじみが悪い時は、一緒ですね。シュミレーターとかでちょっと倍音成分足して、もわもわを付けたり。結構空白が多いから一つだけラインがいたりすると馴染まない。
OY:アンプ使ってるからまとまった、あのサウンドになるんですね。
toe美濃:前で主張する音じゃないですけど、まとまりはあると思います。
OY:ラインでプーみたいな音で見るからに(聞くからに)あとからのせましたみたいな音じゃなくて、
ミト:それも狙いとしては面白い場合もあるけどね(笑)、アンサンブルとしてってこととなるとね。
toe美濃:バンドや楽曲によりけりですね。
OY:そういえば小淵沢でお二人で作業してらしたんですよね。リトルクリーチャーズトリビュート。ミト:やってましたね、クラムボンで。そういえばtoeは終わった?
toe美濃:まだ。リトルクリーチャーズトリビュートはうちらtoeも参加で、明後日MIXなんですよね。
ミト:録ってはいるんだ。
toe美濃:うん。ベーシックだけ終わってて、明日コトリンゴちゃんに唄ってもらう予定。
ミト:あー、いいんじゃない。
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OY:小淵沢では24MIX?
toe美濃:24MIX。でもアレだよね、この時は基本4chマルチでフィールドレコーディング。
ミト:そうだったね。EDIROLの4ch差し込めるレコーダーで。いつも何に使ってるかというと、そのレコーダーは基本アウトが4chあって、同期系のヤツを使う時にライブですごく安定する。MACとか持っていくより安定するんで重宝しているんですけど、それとは別の使い方として、フィールドレコーディング。これで1階のダイニングで雨が降ってる中、窓を開けっぱなしにして朝の4:00に演奏しようって。
「FOUR IN THE MORNING」って曲だったから。その時にPTとか持ってくの面倒だから、HA(ヘッドアンプ)だけ美濃くんの持ってきてもらって、マイクは適当に2本ずつ立てていって、あとは場所移動したりしながら。
toe美濃:4chだからルームマイクも距離を測りながら、「大ちゃんちょっと奥行って」、みたいなかんじで。
ミト:で、そのダイニングで録った時のレコーダー(EDIROL)の時は美濃くんのメガネ電源ケーブル使ってたんだけど、PA-22ZXも試してみたかったね。
OY:PA-22ZXは楽器単品だとちょっと難しいかもですが、まとまったまざりもの音源だとありかもしれないですね。クセというか特徴的なところもあるので好みによるかもですけど。
ミト:すごい気になってるのは、録る時にちゃんとしたの使って外に出す時は普通ので、ってのと録る時は普通のケーブルで外部出しの時にちゃんとしたの使う、どっちがどう違うのかな、どっちがいいのかなって試してみたい。
toe美濃:・・・果てしないね・・・((((((笑))))))
ミト: (笑)いやいや、やったら絶対何かあるだろうなと。録る時はこれ使って、デジタルではき出しだからこっち使って、って。ベストの組み合わせってあると思うんだよ。
toe美濃:うん、たしかにあるだろうね。
OY:アナログ録りのデジタル出しの場合はコレとコレ、みたいな。ミト:そうそう、そういうの。
toe美濃:・・・いやーやめようよ、考えるの、果てしないよ(笑)。
一同:(笑)
d+Firewireはレンジ広いから、ピアノとかすごい楽
ミト:でもさー、d+でUSBとかも出してるじゃないですか。あれなんかもさ、試してみたいよね。
toe美濃:うんうん。
OY:最初ミトさんd+Firewire使ってもらってレビュー頂いてますよね。ミト:そうそう、あれはもうすっごい役にたってますよ。ていうかあれでもう全部やってます。
toe美濃:最近のMACってFirewire800しかついてないじゃないですか、でI/Oは400なんだけど、そういう変換込みのいいやつ・・・
ミト:あるあるあるあるあるよあるよあるある、おんなじやつで400-800の。もう売ってるもう売ってる。
OY:ミトさん詳しいな(笑)
toe美濃:じゃぁそれここに、試してみたいっす。
OY:toe美濃さん、オーダー頂きましたー。ついでにいうと800-800もありますよ。
toe美濃:800-800だとハードディスクと?
OY:外付けのハードディスクのライブラリーや音声そのものとか。
toe美濃:そこで音変わってくる?
OY:そういった用途で、PCと音声ハードディスクの間をd+Firewireにして使用しているユーザーの方から伺った話だと、良好です、と頂いてますね。
ミト:800-800良好なんだ。でもなんにしても安定はしますよね。d+のFirewireケーブルで外付けのハードディスクで作業するのと、普通のFirewireケーブル使ってやるのだと、断片化する時あるじゃない、編集とかでこっちが動かしすぎてて。そういう断片化する回数がだいぶ減った。
OY:伝送ロスの軽減という利点はあります。ミト:絶対そうですよ。
toe美濃:ハードディスク試してみたいな。800-800。
OY:伝送のところが改善されればいいに決まってますからね。ミト:いやー、全てですもんね、そこが。
toe美濃:伝送時にロスした分を再読み込みしてるわけですもんね。ロスが減れば伝送効率はあがるってことですよね。
ミト:ほんとだよね。
toe美濃:ファイルをマージしてくっつけるのに近いっていうか。普通のFirewireケーブル使ってる時に何回も読み込んでロスがあって、「あーエラーだ、もう一回読ませなきゃ」ってなることが減ることによって多少一本化したものに近づくというか。
ミト:確認をする手間が省ける。
OY:今のシステムにデジタル周りのケアは欠かせないですからね。ミト:デジタルと向き合っていかないと作業はできないですよ。
OY:ライブ現場でもデジタルものを流すとかでてくるし。
ミト:もっと言えば僕はソフトシンセ系をMacBookProから鳴らしてPTに録ったりする時もあるから、その時の伝送用のケーブルは重要になってくる。d+Firewireはレンジ広いからピアノとかすごい楽。
toe美濃:なるほどね。
ミト:ピアノって80hz-150hz辺りに溜まってるヤツいるじゃない。あいつらがそこでかたまり過ぎてると歪んじゃうんですけど、その辺が解消されるんだよね。
話題はさらに深く、そして面白く盛り上がった第3回トークセッションはいかがでしたでしょうか?
技術的なお話もバンバン飛び出して興味深く拝聴させて頂いちゃいました。
次回は最終回、巷で話題のNEOギター・ベースケーブルのFORCE’77の話題を中心にお届けします!
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