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「結局自分が気持ち良い音、ストレスを感じない音。」(休日課長)

BOH:単純にいいと思えるケーブル、僕で言えば6弦ベースの音を素直に再生してくれるケーブルというものがなくて、もう市販品ではないだろうなって諦めてたころ。結構な高級メーカーのケーブルも買って使ったりもしたんですけど、ピンとこない。だったらオリジナルで作ってくれっていって、全然違う人に頼んで作ってもらっていたんですけど、それでも不満があった。その後、オヤイデ電気が気になって、連絡してリハ現場に来て頂いて、そしたら周りの藤岡さんや大村くんも気にしだして、それからですよね、みんなが気に入ってずっと使ってるのは。
OY:タイミング良かったですね。
BOH:現場に赤いQAC-222Gを持ってきて、使ってみてって。僕、絶対ウソ言わないし、媚びたりもしないし、ただで貰えるものでも合わなければいらないって撥ね退けちゃうんですけど、QAC-222Gをつなげた瞬間、コレだ!即決でしたね。
OY:はい。元々使っていたケーブルから一発目で変えて、あ、もうコレって空気になったのをよく覚えています。
BOH:他にも何本か持ってきてくださったじゃないですか、でももう僕は最初の赤、QAC-222G。迷わなかったです。思っていたことが、すっと解決する瞬間って迷わないじゃないですか。
課長:そうそう、そうですね。
OY:ジャンル的にも、歪ませてローを出す楽曲に対応できるケーブル、という意味で、QAC-222Gは要望に応えられると思っていたので。色もばっちりだし。
BOH:でも僕はそこですぐ、ケーブルすべてオヤイデにしよう、とはならなかったんですよね。徐々に徐々に足してって、音がどう変わるのかっていうのを確認しながら。パッチケーブルも一気に変えるとわからなくなるから、本当に1本ずつ変えていって、ある瞬間からこれ以上変えてもそんなに変わらないな、というところがわかって。
課長:厳密に言えば、変わっているかもしれないけど、音として自分の中で変化を感じるところのようなもの、ですか。
BOH:そう。それで途中からパッチケーブル以外の、電源ケーブルとかもオヤイデにして、それも1本ずつ変えていって、こう変わるんだそう変わるんだ、って確認しながら。ここでもある瞬間からやっぱり、ここもオヤイデに変えたら変わるかな、と思って変えてもそれほど感じなくなるポイントがある。そういうケーブルの悩みを全部解決したくて、今後もう悩まなくて済むなというところまで行きたいし、けっこういいとこまで来たなと思うんです。原田店長はちゃんと理論的に話してくれるし、プレーヤー目線でも言ってることが間違ってないし、別に新しいのが出たからって押し付けてくるわけでもないし。すごくサウンドの理解があることが理論的で、きちんとしてる。
課長:やっぱりそこは大事なんですよね。
BOH:僕は何かあったら原田店長に電話して、お店に行きます。でも急に必要になることも多くてどうしてもお店に行けない時とかは、申し訳ないんですがリハ現場まで来て頂いたことも何度もあります。
OY:話だけ聞いても、実際に音出してるリハ現場で鳴らしている音聞かないと問題点って気づかないもので、予め話を聞いておいて実際の現場で音を聴くと、解決策にたどり着くのが早いです。だからその音を出している場所に行くのは結構大切だなって思ってるんですよ。

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BOH:変な帯域が持ち上がったり、なくなったりしない、そもそもフラットって何をもってフラットなのか、なんですけど、僕の思うフラットっていうのは、自分が思いを込めている楽器を使ってるわけですから、こういう音が出て欲しいと思って作ってもらった楽器の音を、自分の思うままに出してくれることがフラットなんです。それで、6弦ベースって音域が広いので、各弦によってバラつきがあったらまずい。たとえば、ローがでるみたいな謳い文句の某ケーブルだと、ローがばっこり持ち上がる。低音は良いんですけど、高音はこもる印象になってしまう。これがすごくイヤで。全部をバランスよく鳴らすということに主眼をおいて探していたので、これを満足させるのはQAC-222Gしかない。今だにいろんなケーブルメーカーからサンプルお送り頂きますけど、正直合わないです。課長のフラットはどんなイメージ?
課長:BOHさんがおっしゃった通りで、結局自分が気持ち良い音、ストレスを感じない音。それを求めてベースも選んでますし。変にそこで劣化しないとか、抜けていかないとか。ケーブルも含めてトータルコーディネートでもあって、SugiとAkimaアンプの組み合わせって、かなりレアな組み合わせだと思うんですよ。でも僕はSugiをそのまんま出すというよりは、なんかちょっと絞ってくれるというか、もうちょっとフォーカス絞ってくれるのがAkimaのアンプだと思うんです。欲しいところを通してくれるというか、機材と機材の掛け算みたいな。キレイですっきりしてるSugiと、混じりけがあってロックな暖かみを持っているAkimaアンプ。かといってタッチのニュアンスが失われるようなことは全然なくって、タッチのニュアンスも綺麗に出しつつロックテイストが出る。ケーブルもその中の組み合わせの一つ。
OY:組み合わせはセンスですからね。
課長:僕の場合はまぐれ、たまたまだと思いますよ。あ、この組み合わせいいじゃん、って。
OY:そこで組み合わせの選択肢に登るのは、プレーヤーが持っている裏付け、知識だったりするわけですよね。店頭でも現場でも、こういうケーブルもありますよ、その組み合わせでその狙いでしたらこのプラグが合いそうです、という提案も、きちんと裏付けをもってお話して、情報として伝えて、その結果喜んで頂けると、『あぁ、この仕事やっててよかったなぁ』と、ちゃんと自分の欲しい音に出会ってもらえて嬉しいと感じますね。
課長:欲しい音に向けて、それぞれの機材や思っていることが合致するって、大切ですよね。
OY:自分の音を作り出したいっていう思惑ってみんなあると思うんです。その選択肢の一つになり得るかどうか。BOHさんのワイヤリングは本当に良い流れで出来たと思っているんです。要求もはっきりしているし、こちらが説明したことも理解しようとして頂いていますし。
BOH:エンジニアリング的な知識はないんですけど、こうするとこうなる、これを使うとこうなる、というところについては、間違ったことを伝えてないと思うので、それに対して原田店長はその要求に対して、こんなのできました、これどうですか、と持ってきてくれます。他のメーカーだと、メールが来てサンプルが送られてきて、これいいんですよ試してください、ってちょっとした説明とともに。でも全然その通りにならない。
OY:お店にいらっしゃる方も、音作りに困っていることがあって解決したい人が多いです。ではこうしましょう、機材がこれでしたら、特徴を生かしてこのケーブルを使いましょう、音像改善であればこのプラグを試してみましょう、そういったやりとりを通して正解に徐々に近づけていく行為を、私たちはケーブルを通してやっています。なので、サンプル渡して一発解決というのは、ちょっと考えにくいです。ところでBOHさん、QAC-222Gは今も問題なくちゃんと使えてますか?
BOH:QAC-222Gはハイがキラっと、グっとあがる感じがあるにも関わらず、ローが犠牲にならない、そこが一番大事で、ほんとに素晴らしい。あえて一つ問題といえば、ケーブルにコシがありすぎて収納しずらいというところだけです。
OY:QAC-222Gの試作段階の時に、最初にLIVEで使ったのは課長なんですよ。
課長:その時とBOHさんが使っているものと、何か変わったんですか?
OY:ケーブルは変わっていませんが、プラグが変わっています。現行の製品版ははんだの接触面、受けの部分が試作時のものよりも厚くしています。そうすると音密度が中心に集まる。試作の時のプラグはもう少し広がりというか、空間系のノリに顕著なんですが、モダンな感じしませんでしたか?
課長:あ、確かに弾いていてモダンな感じ、ありました。ちなみに僕がレコーディングで使っているのは純銀単線のFTVS-408です。
BOH:これ知らないな、これなんですか?
OY:FTVS-408というオヤイデの純銀単線を使ったケーブルで、BOHさんが使ってもそんなに的はずれなケーブルじゃないと思いますよ。BOHさんの使いたいローレンジはちょっと足りないかもしれませんが、単線の持っているタイト感は速いパッセージについてくるとか、アタックのニュアンスが出しやすいとか、そういう強みがあります。
課長:そうそう、まったくその通りですね。
OY:QAC-222Gの出すローBは圧倒的なのでそこは譲るとして、FTVS-408もなかなかですよ。

*BOHさんでも一聴しただけではどう弾いているのか全くわからないテクニカルなプレイと、鉄壁のグルーヴ感をあわせ持つ驚異のベーシスト“Victor Wooten”

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