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「ここで出来ることをより深く、いままでやってきたことをより高く積んでいく、っていう方向に肝が据わった。」(Caravan)
OY:そんなスイングバックを繰り返す中で出来上がった今回のアルバムは、ボツ曲なしで?
Caravan:いやそれが、実はけっこう録ったんです。33個素材(ファイル)あって、それを13曲に絞ったんですよ。
OY:それはすごい。
Caravan:とはいっても33個が全部曲になってるわけではなくて、リズムだけとかギターだけとかの、スケッチ的なものも含めてなんですけど。それだけ今回は制作意欲が昂ぶっていたというか、つくりたくてつくりたくてしょうがない状態。
OY:そういう状態に駆り立てられる心境っていうのは、それは、なんだろう、ね。
Caravan:自分もなんなんだろうって思って考えてたんだけど。ざっくり言うとね、開き直ったんだと思う。どうしても自分はコンプレックスがあってさ、自分より優れている人とか自分より才能ある人とか、もっといい音楽をいっぱい知ってるから、そういうものになろうとして、努力してあがいてきたんだよね、今まで。でもやっぱり自分は自分でしかないから、自分以外のものになるのをあきらめたというか、そうすることによって逆に自由に作れた。自分から出るものなんだから自分の作品だろうって思えるようになってきたんだよね。そうなるとすごく、あれもやってみようこれもやってみようっていう曲作りが楽しくなってきて、っていうのはありますね。
OY:完全に独立してもう5年?
Caravan:HARVESTが6年で、レーベル立ち上げてからが2年くらいになるのかな。
OY:その辺りをきっかけに、今のそういったマインドに?
Caravan:それだけじゃなく、いろんなことがそこにはつながってる。それこそ地震があったり、メジャーをやめて自分たちで全部やろうって決めたこととか、このスタジオつくったこともそうだし、すべてのことがつながってて。結局ここで出来ることしかできないかなってことにも気づいた。スタジオの使い方もそうだけどさ。なんでもできる環境を望むんじゃなくて、ここで出来ることをより深く、いままでやってきたことをより高く積んでいく、っていう方向に肝が据わった。マルチで無敵なじゃなくてもいいかな、隙はいっぱいあるんだけどこれやらせるとこの人いいよね、ってなればいいんだよな、みたいな開き直りが出てきたんじゃないかと思う。
「今あるものを自分の体の一部になるくらい使い込むっていうのも大事だと思う。」(Caravan)
Caravan:そうかもしれないですね。自分が今できるベストな作品をつくりだせたと思う。ここから先の判断は聴いた人によるだろうけど、現時点でできることはやりましたっていう感じはあります。
OY:最初にこのスタジオができて間もないころにお邪魔してから2年くらいたって、これまでや今回のアルバムでどんな風に曲ができたのか、というよりもできていくのかを実際見せてもらって、僕らのプロダクトがここから生まれる音楽にちゃんと関わっているんだなっていうことを実感しました。
Caravan:いたるとこにいますよ、OYAIDE/NEO。
OY:ちゃんとお手伝いできていればいいな、と思ってます。
Caravan:いや、かなり助かってます。QAC-202Gなんてずっと使ってるし、このTUNAMI TERZOマイクケーブル1本あるだけでもその気になったりするからね。太いなー、すげーよさそうだなー、どんな音するんだろう、ちょっと録ってみようかなー、なんて思えちゃったりするわけだから。そういうのも大事だったりするよね。
OY:聴いてる人にいい音を届けるのも大切だけど、NEOのプロダクトは演ってる人の気持ちを引き出せたらいいなって思いながらつくっています。
Caravan:機材もあれもこれも欲しいって思っちゃうけどさ、どんどんいろんなもんが出るしなんでも簡単に手に入るし。多少はとっかえひっかえもしてるけど、今あるものを自分の体の一部になるくらい使い込むっていうのも大事だと思う。あるもので足りてることっていっぱいある。足るを知るっていう感じもさ、必要なのかなって。興味はもちろんありますけどね、新しいものとかいい機材に対しては。
OY:それは機材にかぎらず興味は尽きないですよね。年を重ねてくると興味の対象に対してより明確になってくるんですよね。
Caravan:自分だったらこれをこう使うみたいなのことが経験からわかったりするから、余計いろんなものが気になっちゃったりする。
OY:それでハマるとけっこうこじらせたりして、
Caravan:散財しちゃう(笑)。
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