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【…多くの経験が重なっていくことで、今の自分の音楽への向き合い方が形作られていったんだと思います。】

【試行錯誤の日々を過ごすうちに音の虜になっていきました。】

OYAIDE : 音楽を始めたきっかけやタイミングはどういう経緯だったか聞かせて頂けますか。

Photo by Joji Wakita

KYOKA:3歳くらいの時に、親にバレエに連れていってもらったことがありました。
そこで流れていたクラシック音楽が、オーケストラの演奏自体は止まっているのに音だけが会場内に反響して鳴り止まずに響き続けているという現象を体験し、なんだか感銘を受けてとても興味をそそられました。
それが音にハマったきっかけというか原体験です。その後、ピアノを習い始めましたが、ピアノで音楽を演奏する楽しさというよりも、どちらかというと鍵盤を押したときにピンと反響する“音”の面白さに夢中になったのを覚えています。それ以外にも、ある日手に入れたテープレコーダーを分解して、中がどうなっているのか仕組みの方に興味をそそられました。
それをきっかけに録音することの楽しさに目覚め、いくつかのテープレコーダーを使って多重録音のようなことをしてみたり。
そうすることで、エコー効果が生まれたり、反響音が作れることが分かりました。子供ながらにそうやって試行錯誤の日々を過ごすうちに音の虜になっていきました。
OY:現在はベルリンを拠点にされていますが、いつ頃からベルリンに移られたのでしょうか?
また、なぜベルリンを拠点にしようと思われたのですか?

Photo by machina

KYOKA:ベルリンに移ったのは確か2008年です。
その前はアメリカLAを拠点にしていました。
アメリカの友人達が、“ アートに対する哲学が進んでいる“ ということを理由にEUに注目しだしていて、それで私も行ってみようと思いました。
それでまずアムステルダムに行ったんです。
その後に、最初の作品をリリースすることになるレーベルONPAのオフィスがベルリンにあったので、そこを訪ねて行ったんです。
その日のベルリンはとても晴れ晴れとしていて、凄くきれいな青空が広がっていました。
その時に心の中でふと思ったんです、「ベルリンに住もう!」と。
だからベルリンに移住しようと思ったきっかけは、あの日のお天気なんです。
でも、実際にベルリンに移ってきて、あの天気が奇跡の一日だったということを後から知りました。
あとは、東京も以前は多くの海外アーティストが来日したり、大きなイベントやクラブがたくさんあったので分かるかもしれませんが、ベルリンも同じように、遠くに行かなくても家のすぐ近くでいつでもクオリティーの高いパーティーがたくさん行われていて、いつでもそういった音楽に触れる機会が得られるというのも魅力ですね。
そういうところにもとても惹かれました。
OY:幼少期にピアノ、フルート、三味線を学んでいたそうですね。
その後、音楽を続けるにあたって、現在の実験、電子音楽というスタイルを選んだのは何故だったのでしょうか。
KYOKA:大学では経営学を学んでいました。
親も堅実なタイプなので、音楽は趣味程度にしてちゃんとした会社員になって欲しかったようです。
ですが自分としては、音楽の道に進みたいという気持ちが幼少の頃からずっとあって、それを実現するためにどうするかを考えていました。
そんなことから、大学最後の年に、約一年かけて海外を放浪しました。
そこで得た数多くの経験が、実験音楽や電子音楽で表現していくことに結びついていったんです。


Photo by machina

OY:小さなシンセを片手に、単独でバックパック旅行をされたそうですが、実際にどんな旅をされたのでしょうか?
そしてそれがKYOKAさんの音楽にどのように影響を与えたのですか?
KYOKA:色々な場所を旅する中で、様々な音楽と人に出会いました。
その中では、バンドサウンドや音楽として完成されたものに出会うことも多かったのですが、旅の中で初めて出会う人たちと音楽を通じて繋がるという経験も多くしました。
予定調和ではない即興的で、直感的に音楽を一緒に作ったり演奏したりする、言わば実験的な音楽との出会いがたくさんあったんです。
スペインにいた時は語学学校にも通いました。
そこで知り合った仲間とクラブへ遊びに行ったり、即興で音楽をプレイしたり作ったり、たくさん刺激をもらいました。
そうやって旅を過ごしていく中で、音のシンクロや流れを予想する能力が鍛え上げられました。
元々、クラシックやバンドサウンドなどの完成された音楽よりも、反響する音や機器を使って実験することに興味を惹かれていた自分に、さらにそのように多くの経験が重なっていくことで、今の自分の音楽への向き合い方が形作られていったんだと思います。
OY:KYOKAさんは、現在どういったアーティストの方達と交流されていますか?
特に仲良くされているミュージシャンの方はいらっしゃいますか?
KYOKA:コロナ以前は、ずっとツアーなどで絶え間なく移動していたタイプなので、親友ですら1年に1回会えるだけでも十分頻繁に会ってるなくらいに思っていました笑。
でも、Hitoちゃんはベルリンでも住まいがすぐ近所なので、本当に良く会っています。

photo © Alberti Novelli

交流のあるアーティストでいうと、坂本龍一さん、Carsten NicolaiByetoneFrank BretschneierRobert LippokGrischa Lichtenberger, Dasha Rushなど、やっぱりRaster Notonのアーティストたちは家族のように感じています。

Lena Anderssonを一緒にやっているEomacや、Headless Horseman、Visual artistのWeirdcoreは出会ってからもう10年近く経っていて、時の流れの早さに驚きます。

Technoアーティストだと、Nina KravizEllen AllienDJ SODEYAMAさんとも仲良くさせてもらっています。

日本に帰ったときは、サカナクションのベースの草刈愛美ちゃん、GalcidLenaさん、Sakura Tsurutaさん、Lisa TaniguchiLicaxxEllie Roseなどなど。

オヤイデのインタビューにも登場したmachinaとも仲良くさせていただいています。

OY:Visual Artsit 藤本さんとAV Setというプロジェクトを行なっていますが、どのようなプロジェクトなのですか?
KYOKA:映像アーティストのShohei Fujimotoさんとのプロジェクトで、日本でもMUTEKなどでお披露目しています。

韓国公演の時に、オヤイデさんにケーブルをサポートしていただきましたね。その節は大変お世話になりました。
初めて行ったリモートライブで、オヤイデさんにケーブルを作っていただいたり、結果的に実験と考察部分までもサポートしていただいたことになります。
本当にありがとうございました。

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