COLUMN

Interviews

【特別なアンプや機材を持っていかなくても、ケーブルをちゃんとするだけでしっかりピュアな音を再現してくれるという安心感は素晴らしい】

韓国出身、K-POPシーンでも活動されていたという異色の経歴を持ちながら、現在は東京を拠点に活動し、モジュラーシンセを操るエレクトロニック・ミュージック・アーティストとして世界中から注目を集める『machìna』。

2021年11月に自身3作目となるNEWアルバムCompass Pointをリリース。
先ごろWOMBで行われたリリースパーティーも成功させたばかりの『machìna』さんに、オヤイデ電気がインタビューを敢行しました!!

【電子音楽のアーティストを探したり聴いたりするよりは、楽器のマニュアルを見ている時間の方が多かったかもしれません。】

OY:本日はどうぞよろしくお願いします。
machìna:machìnaです。
電子音楽を作っています。よろしくお願いします。
OY:音楽を始めたきっかけやタイミングはどういう経緯だったか聞かせて頂けますか。
machìna:私にとって“音楽をやる”というのはとても自然なことでした。7歳の時からずっと音楽が大好きで、どんな道を歩んでも自分はずっと音楽をやっていくだろうとなんとなく認識していて、そのまま自分の気持ちに正直に突き進んできました。
OY:レッドブルミュージックのドキュメンタリー映像を拝見し、machìnaさんが音楽学校でJazzをやられていたことや、K-POPのシーンで苦労されたことも知りました。
その後、音楽を続けるにあたって、現在の電子音楽というスタイルを選んだのは何故だったのでしょうか。
他にもバンドやシンガーなど、表現方法やジャンルなど、選択肢は色々あったと思うのですが。

machìna:先ほどもお話しましたが、私のルーツはそもそも“音楽をやりたい”という強い想いがあってのものです。
“音楽”そのものに対するパッションや愛情も強く持っています。おっしゃる通り、確かに表現方法は色々ありますが、音楽をやり続けることが私にとっては一番重要なことで、極端に言えばジャンルや手法に関してそこまでこだわっていませんでした。
だから、大学では Jazzを勉強しましたが、その後に選択したのはK-POPでした。その時韓国で音楽をやり続ける一番の方法だと判断したからです。
電子音楽に興味を持ちはじめたきっかけは、日本に来たことが大きく影響しています。日本の楽器屋さんを訪れた際に、初めて何種類ものアナログシンセに出会いました。
実際に見て、触れて、その音を聴いてみて、アナログシンセの魅力に惚れ込んだのです。その出会いから、この楽器を使って表現したいという気持ちが芽生え、今の音楽の形になっていったのだと思います。
OY:では元々、電子音楽のアーティストやエレクトロニカ、テクノとか電子音楽を好んで聴いていたからというわけではなくて、、、
machìna:はい、その“音”にとても魅力を感じました。
OY:なるほど。それはとても興味深いですね。意外とそういうパターンは珍しい気がします。
普通という言い方もおかしいですが、大抵の場合は自分の好きな電子音楽の アーティストやジャンルなど、好きな音楽がベースとなって、自分もそういう音楽をやってみたいという衝動が生まれて、そこから音楽を始めるというケースが多いように思います。
machìna:確かに、そうかもしれませんね。最初のうちはそういった電子音楽のアーティストを探したり聴いたりするよりは、楽器のマニュアルを見ている時間の方が多かったかもしれません。
OY:でも、自分でアナログシンセに興味を持ってからは、電子音楽のアーティストを色々と聴くようになったのですか?
どのようにモジュラーにのめり込んでいったのでしょうか?
machìna:電子音楽の音作りをするために、最終的にはやはりモジュラーシンセへとた辿り着くのですが、最初にEurorackを発見した時は、まず見た目の美しさに「これは!」という感じで、そこから出てくるBeast的な音に今まで以上に熱中していました。
モジュラーは、様々なユニットを組み上げて自分のオリジナルのシンセサイザーを1から作り上げていくものです。
バジェットも結構掛かるチャレンジングなものでもあるので、はじめにモジュラーを組み立てると決断した後は、まず自分に合ったものは何なのか、それを使ってどんな音を出していきたいのかなど、無駄なく導いていくためにしっかりと作戦を練る必要がありました。それを勉強するために、最初は東京でやっている小さなモジュラーイベントや楽器屋さんなど、色々なところに足繁く通っていた時期があります。
まず始めに自分の中でいい音という概念があって、じゃあその音を使って私はどんな音楽をやりたいんだろうということを真剣に考えました。

OY:自分に合ったもモジュラーを見つけるために色々なイベントへ足を運んだんですね。machìnaさんの行動力はやはり目を見張るものがあります。
machìna:色々なイベントに足を運んで、様々なモジュラーアーティストのパフォーマンスを観てきました。
モジュラーは、同じ機能のユニットでも、使い方次第で方向性は無数に広がるというのもこの楽器の利点なので、勉強すればするほど、知らなかったことや新しい発見があるのです。
だから、Tokyo Festival of Modularはもちろん、ベルリンで毎年開催されているSUPERBOOTHやニューヨークにも面白いコミュニティがあって、色々な国でモジュラーの文化に触れてきました。
OY:色々なイベントに参加していて、このアーティストはすごいとか、こういう音楽をやりたいっていう様な出会いはあったのでしょうか?
machìna:もちろん世の中には素晴らしいアーティストや音楽ばかりですが、その頃はまず、それ以上に自分が何をしたいのかというのをはっきりさせる事が一番大事で、常にそれを意識していました。
自分のオリジナリティを追求していくうちに、自分の声が一番オリジナリティを持ったオシレーターだということに気づきました。
大学の時はJazz Vocalをやっていて、その後K-POPでもずっと歌を歌っていたので、それを大事にしていきたいという想いもありました。
だから、初めて組んだモジュラーは、声を通してそれをモジュレーションするというアイデアから始まりました。
OY:モジュラーシンセは、アナログシンセの中でもヴィンテージでとてもニッチなイメージでしたが、日本でまたモジュラーが注目され始めたのもここ4、5年くらいな気がします。
やっぱりgalcidさんやmachìnaさんの活躍や影響は大きいのではないでしょうか。

machìna:もしそうだとするのであればとても嬉しいです。
以前、こんなことがありました。
ライブが終わった後に、若くて可愛いらしい女の子が話しかけてくれて、「machìnaさんがモジュラーやっているのを観て、私もモジュラー買いました!」と言われたことがあります。
それを聞いて少し責任を感じてしまいましたが苦笑。
でも、そういう風に若い人から声をかけてもらうことや、そうやって反応を得られることはやっぱり凄く嬉しいです。
私の場合はモジュールを音楽的なアプローチで使えている時が多いので、そういうところからもモジュラーの魅力に気づいてくれて、興味を持ってくれる人も増えているのではと思っています。

PageTop