COLUMN
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ライブの現場で使用されているオヤイデ/NEO製品にスポットを当て、それらの魅力を紹介する企画『OYAIDE Live Report』
第6回は2023.5.24 新代田Feverで開催されたtricot『南無』のレポートです。
tricot(トリコ)
中嶋イッキュウ (Vo&Gt)
キダ モティフォ(Gt&Cho)
ヒロミ・ヒロヒロ(Ba&Cho)
吉田雄介(Dr)
2010年9月1日tricotを結成。直後に自主レーベル、BAKURETSU RECORDSを立ち上げる。
2019年、avex/cutting edge内にプライベートレーベル「8902 RECORDS」設立し、メジャーデビュー。
展開の予測できない独特でスリリングな楽曲と、エモーショナルな力強さと心の琴線に触れる繊細さを併せ持つヴォーカルが絶妙にマッチし唯一無二の世界観を生み出している
国内のみならず海外でも注目度が急上昇中のロックバンド。
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夕暮れの新代田は、都内の喧騒から少し外れた様な気がします。
こじんまりとした駅前から、環七を渡り、ふと右手に目をやると、今回の会場である新代田Feverがあります。
本公演「南無」は、未知なる対バンを迎え、刺激を頂くという趣旨で開催されたtricot主催の新企画。
記念すべき初回の対バン相手は、CRYAMY。
転換、皆がtricotの登場を待ち侘びながら思い思いに過ごす中、何の前触れもなく彼女達はステージに登場しました。
湧き上がるオーディエンスとは裏腹に、淡々とした口調で「tricotです。よろしくおねがいします。」とVo&Gt.中嶋イッキュウさんの一言でライブはスタート。
一曲目は、Gt.キダ モティフォさんの怪しげなシマーサウンドから始まる『冗談検定』。
クセのある楽曲と同様に、メンバー其々のサウンドやフレーズも一癖あり、それがtricotのバンドアンサンブルとして、我々を常に熱狂させてくれます。
バンド全体のサウンドは、マスロックなどポストロック系譜を踏襲しつつも、キャッチーと独創的な世界観が、上手いバランスで構築されています。
中でもVo&Gt.イッキュウさんの歌声は、時にやんちゃで、時には幼く、時に妖艶。
実態が掴めない様な、とても一言では形容し難い程、魅力に溢れていると感じます。
続いて披露された『18,19』は、畳み掛けるようなDr.吉田雄介さんのフィルが躍動していました。tricotのアンサンブルの中でも、ベロシティ全開で大迫力な吉田さんのドラムはかなり印象的です。
まさに「爆裂」という言葉がピッタリだと感じます。
3曲目『おもてなし』では、イントロからキダさんの耳に残るギターリフ。
コーラスの小気味良いドライブサウンドも絶品。
キダさんのギターサウンドは、なんといっても『気持ちの良いサウンド』。
安直に聞こえるかもしれませんが、このフレーズが個人的に一番しっくりきます。
とても本能的であり、開放的です。
4曲目『おちゃんせんすぅす』
独特な冷たさの中にも、インパクトの強いワードとダンサブルなサウンドが、オーディエンスをさらに盛り上げます。
Ba.ヒロミ・ヒロヒロさんのベースは、ミッド抑えめでソフティでありながらもしっかりと存在感を感じるサウンド。音に厚みを持たせ過ぎない事で、より聞き馴染みの良いアンサンブルが構築されていました。
5曲目はイッキュウさん、キダさん、ヒロヒロさんによるトリプルボーカル楽曲『サマーナイトタウン』。
全曲に共通してですが、tricotはボーカルのメロディラインがとても面白く、型にハマらない、されど吐出し過ぎないオンリーワンなセンスが出ています。
どことなく憂いた様な歌い方が、心をキュッとさせます。
そしてMCタイム。
本企画「南無」は未知なる対バンを、迎え刺激を頂くというテーマのイベントですが、実は構想段階では「ちーすうたろか」という裏タイトルが存在したという笑撃の事実をカミングアウト(笑。
MC明け6曲目は、ライブでは定番の楽曲『右脳左脳』。
プリングハンマリングをループするギターリフが印象で、こういうフレーズを聞くと、やはり皆んな顎でリズムを取っていました。
多分みんなギタリストです(笑
7曲目『秘蜜』
クールな中にも、ふわっとした濃霧の様な不安が漂う世界観で、こちらもライブではお馴染みの楽曲。
中でもVo&Gt.イッキュウさんが歌うメロディラインが光る楽曲だと感じます。
「そこでそういくのか!?」と思いきや、節々に点在するキャッチーなフレーズにより途端に、深みと馴染み易さが生まれています。まるで自由に飛び交う鳥達の様。
またこの楽曲はBa.ヒロヒロさんのうねる機械的なベースも魅力です。
8曲目『OOOL』では、キダさんのディレイを使ったエフェクティブなフレーズと、嵐の様に突き進む、手数の多い吉田さんのドラムパートで会場はヒートアップ。
tricotの楽曲の中でも特に”自由で溢れている”と感じます。
各楽器が静かに暴れ続けている様な、されどその全てに意味を持たせ、一体感を出しているのは、間違えなくヒロヒロさんのベースの功績でしょう。
た、大変そう‥(小言)
9曲目『potage』が始まると、少し会場の雰囲気が変わった様な感覚を覚えました。
キダさんの天才的なリフ。ギターを弾いた事ない人でも弾きたくなるフレーズだと思います。
どこか生活感のある序盤パートからテンポチェンジを挟むと一転、エフェクティブで焦燥感のあるパートへ。
そこから繋がるコーラスでの、キダさんの飽和したドライブサウンドで繰り広げられるメインフレーズは、誰しも心を奪われた事でしょう。
私は奪われました。
tricotは国内での評価もさる事ながら、海外からの支持も厚く、ワールドワイドな活躍を魅せています。
本公演でも、海外からのファンが多く見られました。
イッキュウさんが、キュートな英語で『where are you from?』と語りかけると、
「バルセロナ!!」
「メキシコ!!」
「カナダ!!」
「ロンドン!!」
「ブラジル!!」
と叫ぶ声で溢れかえり、会場内は温かい時間が流れました。
ラストは、最新アルバム「不出来」からタイトルトラック『不出来』。
最後の最後まで、新しい顔を魅せてくれるtricotらしい楽曲で、荒々しいサウンドの中にもフィナーレ的な終末を感じさせます。
楽曲終盤、各楽器が思い思いに荒ぶる、通称カオスパート。
一人ステージに残ったキダさんのフィードバック奏法で、会場は最後のヒートアップを魅せる。
ノイズテクノばりの爆音の中、昂ったキダさんがエフェクターボードを持ち上げた姿は、神々しくもあり少しシュールでもあり、とてつもない印象を我々に与えました。
こうして、約1時間ほどの公演は幕を閉じました。
また弊社のマイクケーブルの中では、コストパフォーマンスに優れている点も魅力的です。
またBruce Zinkyの電源には、L/i50 G5を使用されています。
オヤイデ伝統のL/i50 OFCを、楽器用としてモディファイした本製品は、ナチュラルかつ鮮明なフラットバランスと、押出感とキレのある中音域が特徴的です。
ナチュラルでウォームな中音域と、クリアで耳障りの良いドライブサウンドが魅力なBruce Zinkyとの相性は非常に良く、ビンテージライクでスムースなサウンドは極上品でした。
キダさんのメインケーブルには、Ecstasy Cableが導入されています。
ギタリスト/ベーシストが本能的に求める”快感”にスポットを当て、ケーブル、プラグ、ハンダなど拘り尽くした本製品。
キダさんの”本能的”で”気持ちの良い”ギターサウンドとの相性は、バッチリでした。
キダさんからは、「高音が耳に痛い感じではなく欲しいところの倍音が出ていて、音がよりクリアに聞こえる印象。
歪みの乗りも良くなった感じがします。
ケーブル自体も他のオヤイデ製品と比べてしなやかになっていて扱いやすいです。」とコメントを頂いています。
“高域が耳に痛くない”という点は、プラグとハンダのキャラクター性が強いでしょう。
高域成分の柔らかさや、楽器特有の深みや表現力を損なわない個性を実現しています。
また仰っていただいた通り、取り回しの良さもEcstasy Cableの特徴と言えるでしょう。
音質と良好な使用感を両立した、まったく新しいインストゥルメントケーブル、それがEcstasy。
パワーサプライからの供給には、DC-3398LLを使用。
オヤイデ電気が開発した、精密導体『102SSC』を贅沢に使用したハイエンドなDCケーブルです。
高い解像度とレンジ、フラットな表現能力、ノイズレスで安定した伝送能力など優れたパフォーマンスを可能にした本製品ですが、中でも、高い解像度と安定した伝送能力。
この2点がある事により、数多のアーティストに使用されているのではないかと感じます。
現代音楽シーン、差し引いてはオーバーグラウンドで活躍している音楽では、どんどん画期的で新しい機材が導入され、それにしたがい、より解像度の高いクリアな音質が求められる様になってきています。
そんな中でもDC-3398LLは、それらの機材が持つハイクオリティなサウンドを損なう事なく、そしてトラブルの少ない安定した伝送が可能です。キダさんの様に、機材数も多くエフェクティブなスタイルにもしっかりハマっていました。
ヒロヒロさんの足元にも、DC-3398LLが導入されています。
ヒロヒロさんからは、「私は空間系エフェクターを使う事が多く音痩せが気になってたんですが、オヤイデのDCケーブルに変えてから抜群に抜けが良くなりました。以前使っていた物と聞き比べても全然違うのでびっくりです!」とコメントを頂いています。
DC-3398LLと空間系エフェクトとの相性は良く、高い解像度により、残響の際の際まで再生する事が可能になります。またダイナミックレンジの向上により、より拡がる空間を感じる事が出来ます。
空間系エフェクターにのみDC-3398LLを導入される方もいるほど、好相性です。
吉田さんは、イヤモニ用延長ケーブル(※ショップ限定・受注製作品)を導入されていました。
「高解像度」「広レンジ」「フラットな表現能力」な特性はモニター用途として合わない訳がありません。
アンサンブルの中で、音数や音色が増えていく中でも、ハッキリとした定位を把握できる事は、モニター用途のみならず、インストゥルメント、オーディオなど幅広い用途に対する最適解の一つと言えるでしょう。
またハット横のSPDには、d+ClassB TSが導入されています。
d+Seriesは、多彩な音楽環境に対応するハイパフォーマンスケーブルとして開発されました。
導体にはOFC素材を使用し、音質はもちろんの事、優れたデザイン性も魅力で、ステージでも一際目を引く存在感があります。
インストゥルメント、ミキサー、インターフェイス、モニタースピーカーなどあらゆる環境にも対応可能です。
いかがでしたか?
tricotの楽曲やステージには、『律した自由』を感じています。
多様なサブジャンルが数多開拓され続けてきた現代音楽シーンの中で、tricotという唯一無二のジャンル。
音を愛し、音に愛された彼女達が自由に演奏する様は、一度見たら脳の海馬から切り離す事は難しいでしょう。
すっかり日が暮れた新代田は、先程までの盛り上がりがまるで嘘かの様に、穏やかな生活が流れていて、少し冷たい風は、彼女らの演奏でヒートアップしてしまった心身を宥めてくれました。
「音楽って不思議だなぁ」なんて、身もふたもない事を考えていたら、乗るはずだった渋谷行きをホームから見送ってしまいました…
Writting by Yuuki Miura
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